「トスカーナの贋作」と「ライク・サムワン・イン・ラブ」を見たけど、キアロスタミやばいっす。
2018年の現在、キアロスタミに興奮するとか、何か特殊な意味付けを捏造しなければ到底納得を確保しきれないほど今更感満載だが、自分はあらゆる事柄が今更なので仕方がない。
しかし、レンタルにしろストリーミングにしろ、見ることのできる作品は極限られている。他は買えって?そしてそれすらままならない。ロングテールなどとほざくなら円盤の一枚や二枚ストックしてしかるべきであろう。
昔、近所のツタヤで「桜桃の味」を借りたことがあった。1997年の作品だから、封切りからさほど経っていない頃だろう。借りたものの見ないまま返却期限がきて、そのまま返してしまった。あの時あれを見ていたら、その後の人生は...特段変わってもいないだろうけど、しかし、決定的な運命による翻弄劇という外的な力を想定しなければ生きることを可能としないフェーズも人には存在する、とか言えたり言えなかったり。
そんな運命論への希求などにこの監督が耳を傾けるとは思えないが、それを無視するほど楽天的でもない。というのはキアロスタミの虚実の皮膜は、現実を決定不能の宙吊りにすることのみを目的にしているわけではなく、同時に悲劇の因子でもありブースターでもあるからだ。