「竹山ひとり旅」新藤兼人

全盲に近い三味線弾きが、貧困と蔑視の中で寒村の家々をめぐり、角付けをしながら、その日暮らしを送らざるを得ない様子を描いたこの映画は、重く救いの見えない題材に物語上の慰撫を施すことを拒絶するかわりに、ユーモアでそれに対峙する。
朴訥で人懐こく、一徹な性格として造型された主人公の存在が、ベタベタなヒューマニティの挿入を必要としない砦となっている。

かつて類型として存在した、この種の人物像が機能しなくなったとき、物語は変質した。