2009-01-01から1ヶ月間の記事一覧

「亀」池田将

コミカルな味付けがなされてはいるものの、物語の展開を切り詰め、過剰な演出や、恣意的な編集を抑え、人物描写だけで、観客にショックを与えることなく、しかし退屈を感じさせず、スムーズに、軽妙に、厚みや多層性、振幅を保ちながら、リアルに、世界をと…

<問い>の問答

気鋭の禅僧ということになるのだろうか、南直哉、玄脩宗久、二人の禅僧の対談集。興味深く読んだけど、まとまった感想が出ないので、面白味を感じた部分をいくつかピックアップ。 ⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯…

「さようなら、私の本よ!」大江健三郎

主人公の長江古義人という老齢の小説家の中にある“おかしなところのある若いやつ”は、自信の内面にそれを抱え込んだ葛藤として描かれることは無く、周りに出てくる若い登場人物に、ゆるやかに仮託され展開していく。老齢の小説家、長江古義人は今まで ー世界…