眼科検診

武蔵野市から不惑の称号「眼科健康診査のお知らせ」を賜った。
500円硬貨を握りしめ、駅前ビルディング3Fにて開業している眼球専門医の扉を叩いた。
眼球に突風を受け、謎の点眼を施され、「うえ、した、みぎ、ひだり」と発声し、天井を見ろ、右の壁を見ろ、左の壁を見ろ、あげくの果てには下まで覗き込めと、見ても視線の快楽をなんら伴わない見ることの経験を完全に封殺された、眼球の運動のみに特化したコンセプチュアルな体験をしてきた。
最後は、現在使用中の眼鏡の度が強烈に過ぎること、年相応の白内障であることが告げられ、お土産に眼底写真を授かった。
眼科医勤務の女性看護士からの見送りを受けて一時間程たった現在、秘薬の点眼は私の視界を霧の倫敦に誘っている。