美しいニュース映像

テレビニュースを見ていると、たまに映画のような美しい映像が流れてくることがある。こういう美しさは注意して取り扱わなければならない。昔、ボスニアの内戦を伝えるニュースで、小ぶりで可愛らしい住宅のある、欧州の美しい田舎に降り積もる雪の中を、小銃を乱射しながら駆け抜ける若い兵士の映像を何度も見たことがあった。映画の1シーンのような美しい映像だったが、悲惨な内戦を伝えるものとしては相応しくなく戦争を美的対象にしかねないものだった。美しさを排除すればいいというつもりはない。世界を美的に ‐いわゆる美しさだけでなく‐ 解釈する契機が人から消えるわけでもない。しかし、そしてそれだからこそ、グロテスクなセンセーショナリズムと同様、その扱いには慎重を期すべきだろう。