無気力と気力の間で

無気力試合という前代未聞のパフォーマンスを五輪という世紀の舞台で繰り広げたことで、私のハートを鷲掴みにしたバドミントンの試合を初めてじっくり見てみたところ、有気力試合もこれが以外と面白い。
コートという二次元空間を前後左右に高速度移動を繰り返す選手達は、虚空に舞い上がるシャトル目掛けてラケットを上下方向に叩き降ろし、三次元空間のダイナミズムを現出させる。
シャトルは柔らかく舞い上がるかと思えば、瞬時にコートに突き刺さる。
ダイナミックな選手の身体動作とは裏腹に、“痛そう”なシーンが発生しそうな予感は一切排除される。
お手軽レジャーの代表格として市民権を得る裾野の広さと、トップアスリートが生み出す高度な緊迫感。
ダイナミズムと優雅さ、民主主義と選良主義の完璧なる融合。