映画「サウダーヂ」への批判として、あらゆる問題を詰め込みすぎて破綻しているというものがある。また、前半の地方都市の現実を描く描写の素晴らしさに対して、後半の物語の展開を安易で強引だとする批判もある。
しかし、こういった映画的完成度の重視や、物語を否定する描写至上主義的な芸術派セクトの思惑を超えている所に、この映画のアクチュアリティがあるのだと思う。
社会学的関心の対象としてのエンターテイメントでもなく、映画的真理に迫っていると見做される芸術映画やカルト映画でもない。それぞれはすでに安定したマーケットが確立され、住み分けが行われ、語り口のフォーマットも定着しているだろう。