良い子・悪い子・困った子

菊地成孔がブラックミュージックは「悪い子」の音楽だと言っていた。
缶蹴りをしている時に、ちゃんとゲームを遂行する子を「良い子」、途中で帰って家でジュースを飲んで頃合いを見て缶蹴りに戻る子を「悪い子」、途中で抜けて帰ってこない子を「困った子」と分類。たぶん「良い子」とはクラシック音楽で、「困った子」は現代音楽ということになるのだろう。そしてブラックミュージックを外れそうで外れない「悪い子」と位置付ける。
また、西洋音楽における逸脱は、システマティックな完成度を極端に推し進めることで過激さを獲得するか、酩酊状態にも似た耽美性の二極化にあるのに対して、黒人音楽はそのどちらにも拠らないという。
こういうふうに「悪い子」と「困った子」の違いを言ったところで両陣営から大したリアクションもないだろうけど、この「悪い子」の逸脱の質と、「困った子」の逸脱の質の違いを視野に収める有り様に共感する。