出勤時、駅のホームを歩いていると膝の後ろを大きな鞄で押された。
ガンと強く当たったのではなく、ググッという感じで押された。
当然膝は関節の物理構造に従ってくの字に運動する。体はゆるやかに斜め後方に傾き、視線は瞬時虚空を彷徨う。
突如捩じれた空間と身体感覚に極短時間の苦笑が発生するものの、それは速やかに霧消させ乗り換え車両を目指して足早に歩き出す。