橋口亮輔

原一男のニコ生「CINEMA塾」」で橋口亮輔のインタビューを見てから、すっかり橋口亮輔のファンになって映画を全部見た。本数が少ないのですぐ見れるけど。
「二十歳の微熱」と「ハッシュ」は昔見たことがあって面白いとは思ったものの、その後特に気にすることはなかった。今回「ハッシュ」の見直しも含めて、この監督作品の人物描写の絶妙さに驚愕した。
その絶妙さは単にリアルということでななくて、エンターテイメント性と不可分な形で、描写がリアルとカタルシスの微細なスパークを発しつつ展開していく。
登場人物たちはJ Popの歌詞のような安っぽいセリフも吐くのだが、それもその人物にとってのリアリティとして相対化され物語の中で機能し、承認の問題から経済的な条件、社会的な立場、通念まで含めて絶妙に絡み合う。
シネフィルが映像の織物だったのなら、J Pop的なものやゲイカルチャー的な饒舌さによるドライブ感を駆動力とした人物描写の現在的な織物として橋口の映画はあるようだ。