肩こり

肩に不快感が発生する。ずっしりと感じる重みは、内発的なものというよりは、外部から何かが加えられていると考えることのほうが自然と感じる類のものだ。恨みは方々から買っている。否、押しかけられ、断っているにも関わらず玄関に残していかれ、代金を請求されているというのが実情であるはずだと考えるようにしている。

そんな生霊を退治すべく、ダンベルを持って除霊の舞を開始した。アップライトロウ、ベントオーバーリアレイズと命名されている身体操作は、常識的な日常感覚を持った市民の目を持って眺めれば、一方は日本猿のいきり立つ舞、一方は禿鷲の鳥葬の舞という以外に解釈のしようがなく、近代科学の装いを剥げばそこには、精霊信仰とミーメーシスの喜びに溢れている。

自然科学とアミニズムがタッグを組んだ、この舞にはさすがの生霊(あいつと、あいつと、あいつと、あいつだ!)も恐れをなして退散せざるを得なかったらしい。とはいえまだまだ、この肩に未練を残しているらしく、時に、そっと手を触れてくるとがあり、軽い念を感ずることもあるが、こういう謙虚な態度であるならばつい、話でも聞いてみるかという気を起こさないでもない。しかし、ちょっとでも甘い顔を見せればすぐに付け上がって、ありとあらゆる仕事を持ちかけてくるのは眼に見えている。猿と鷲による威嚇と慰めを手放せるときは当面訪れそうも無い。