ユトリロ「モンマルトルのノルヴァン通り」

ユトリロを見てきた。後期の可愛らしい絵も悪くは無いが、やはり初期のものに惹かれる。1910年頃に描かれた「モンマルトルのノルヴァン通り」が三点並べて展示してあったが、これが絶品だった。ユトリロの情念と、物としての絵の具の共犯関係。画家が絵の具を使っているのか、絵の具が画家を使って描かせているのか。こんなキャッチコピーは、どんな絵にも言えてしまうことなんだろうが、イメージの生成と画材のマテリアルな存在が、こうも拮抗しながら成立している絵画は稀有ーなのかどうかは分からないが、そこに強く引き込まれた。