国家と資本の成り立ちを、論じるにあたって著者は、利益を得る手法をまず次のように分類する。
「カネを手に入れる四つの方法」
1. 誰かからカネをもらう
2. みずから働いて稼ぐ
3. 他人からカネをうばう
4. 他人を働かせて、その上前をはねる
1. は相互扶助の共同体社会。2.は労働。3.は国家。4.は資本。にあたる。
3.は略奪であり、略奪を可能にするのは基本的に物理的な暴力であるという。
この本では主に3.の略奪を可能にする暴力機構がいかに成立し、その中でも国家が他の暴力機構に比べ、略奪の正当性をより強く獲得するメカニズムを解明していく。
そこで獲得される正当性は「暴力への権利」「富への権利」という権利として抽象化さることで、利益を受け取る権利を確保しながら、運営主体を分離して効率化し、あらゆる領域に浸透していく。
ここで語られていることの是非を判断する能力はないが、物理的な暴力が基底にあるという考え方は、素朴な実感と合致しやすい。