シーキャンプ・コマンダー

自分が最も美しいピストルと思っているのが、月刊GUN 1978年4月号で特集されていたシーキャンプ・コマンダーのシルバーモデル。というより、この号の表紙に写し出された姿。
無骨でシンプルなコンバットコマンダーに、美しい曲線を描くダブルアクションのトリガーとトリガーガードを装着。鈍い光沢を放つフレームと、磨き上げられた滑らかな鏡面を持つスライドやグリップセフティ。グリップ前面に施された滑り止め加工と、ざらついた木目が浮き出るダークブラウンの木製グリップが、システマティックな作動装置を人が承認可能な意味の領域に繋ぎとめる。
銃身長を切り詰めたセミコンパクトモデルは、集団戦用途ではなく、個人のセルフディフェンス用途として、その背負った原罪を抑制する。


中学2年生の自分は、近所の本屋でこの姿に釘付けになっていた。それからGUN誌を毎月購読しだして、上六や梅田のモデルガンショップに友人とよく見に行くようになり、小遣いを貯めて時々買うようになった。
この雑誌を見ているときや、モデルガンショップに行ったときにはある特有の感覚があった。少し緊張感のあるアンダーグラウンドの世界といった感じだけど、感覚は身体的なもので、直接体全体に関わってくるような具体的なものだった。