iPod バッテリー ルネッサンス

生活必需品として活躍中の第5世代iPod with video。内蔵電池の持続時間の減少傾向に気付いたのは、この正月。快適なナルシシズムグッズで充填されたone room mansionから遠く500km隔たった親族の生活の営まれる地方都市でのポータブルプレーヤーの電力供給停止は、まさに死活問題としてあった。
この恐怖の反復を回避すべくAmazon.co.jpの検索エンジによって選定された精鋭達の中から、私の鑑識眼に適う交換型内蔵充電池の発送を指示した。
アマゾンジャパン株式会社からe-meilの親書が送られてきたのち、物品の献納が完了。iPodが身に纏う簡潔かつ官能的なアメリカンデザインの、そのフォルムの内部に潜むセキララな真実に触れようと手にした私は、すでにそれが電力供給能力を回復している事実を目の当たりにして愕然とした。
衰退する帝国として金融工学錬金術のみをサバイバルツールとしているUnited Statesは、ここでIT先進国としての顔を露にした。
飛ぶ鳥が戦意を喪失する勢いのIT先進企業であるappleAmazonは、最新のIT遠隔操作技術によって私のiPodの修理を慣行したに違いない。私は考える。彼らappleAmazonは、クレジット会社からの入金を確認すると自動化されたデータベース処理によって私のiPodのシリアルナンバーを照合。正規購入品であることが判明したところで、最新IT電磁波を発信。無線LAN技術を応用したそれは、私のiPodの内蔵電池に働きかける。最新IT電磁波は電池の分子構造を組成し直し、初期化を施す。そこで間髪を入れず、モノとしての交換用電池が自宅に配送される。しかしそれの存在意義は、すでに完了している修理を指示するアイコンとして。
顧客第一主義などという言葉が、被雇用者のルーチーンワークの挨拶でしかない現状にあって、この最新ITサービスのあり方には瞠目せざるを得ない。このような企業が存在する以上、われわれは何も憂うることはない。見えざる最新IT技術の手の計らいは、当の企業の経営者も技術者をも含んで、それ自体としての自己生成を、「精神」の自己実現を成し遂げることになるに相違ない。