「魔界転生」深作欣二

荒唐無稽なファンタジーに時代劇の類型を詰め込んだ、この映画を時々見返しては、類型の持つ力に見惚れる。特に登場人物達の語るセリフの豊かな類型の厚みには圧倒され、ただ、羨望の眼差しをもって聞き入ってしまう。時代劇というものをあまり見たことが無いので、この映画で使われるセリフの水準がどの程度のものなのか判断のしようもないが、たぶん類型の見せ場の台詞回しが、エッセンスとして詰め込まれているのではないかと思っている。時代劇のサンプリング集のようなものとして。こんなセリフを縦横に扱うことが出来れば、どれほど気持ちいいだろうか。