自立

近代の特質としてある「自立」は、宗教から、因習から、社会からその身を剥がし、ジャンルの固有性への純化を指向した。その指向性が生み出すコンフリクトが「芸術性」と呼ばれた。
純化としての「自立」は賞味期限を過ぎ、コンフリクトが解消され、浮遊するアトムの中で「芸術性」は霧消した。
波間に漂うアトム化した個物は、波に揺られ都度集合離散をただ繰り返す。そこに真の自立は去勢を経ることでのみ得られるのだと偏執狂が現れる。