散歩と行き止まり

数年ぶりに自転車を買って、近所を自転車に乗って散歩している。

十年ほど前までは良く自転車でブラブラしていたのだが、ここ数年はまったくそういう気にならなかった。それが、ここのところ自転車に乗ってのんびりと、うろついている事で気分が開放され、その散歩の時間が充実した時間として感じられている。しかもかつて散歩を頻繁に行っていた時期に比べて、よりゆったりとした時間を持てるようにもなっている。以前は散歩しながらも、流れる風景の中に何かを希求していたが、今はそういう面は薄まり、ゆるやかに気分が拡散してゆくような感じをもっている。

一方、仕事をはじめ、生活全般には閉塞感を感じている。うまくいかないというより、展望が見えないといった感覚が覆っており、軽い憂鬱感が常態となっている。おそらく、ここ数年のうちに仕事のステージが変化する可能性があり、そうなればまた別の心理状態になることもあるだろう。仕事以外の生活でも何か別のルートを手繰り寄せなければどうしようもない感じがあり、今のままではいられないだろう。

しかし、現状はある種のエアポケットに入っており、その無為をそれ自体として娯楽に転化する散歩というメタゲームでやり過ごしている。

ちなみに散歩開始時にiPodでかける一曲目は必ず、スチャダラパーの「サマージャム'95」。これをかけると一息に散歩モードは完成する。寡聞にして私はこれを超える散歩支援歌謡を知らない。