帝都 上野

上野動物園に行ってきた。動物園としては大きいものではないんだろうけど、もう何十年も動物園に行っていない自分にとっては充分楽しめた。巨体を丸めてじっとしているジャイアントパンダ。愛らしい容姿でうろうろ動き回るレッサーパンダ。精悍な姿で遠くを見据えているオオワシ。ヒトとほとんど変わらない構造を持ちながらも、ヒトがどうあがいても獲得できない筋肉を持つゴリラ。全身を凶器として特化した姿をアクリル板一枚隔てて、写メの前に静かにさらしているイリエワニ

ステマティックな近代都市に住む我々にとって動物園は、制御不能であるはずの自然への勝利宣言であるとともに、直接的な恐怖を取り除いたあとに生まれる「崇高さ」の確認作業の施設としてある。

動物園を出るとそこには隣接して、美術館があり、博物館がある。これらも中に収められているものの構造は野生動物のそれと同じものである。上野公園は博覧会の世紀に、東京が帝都足らんとしていた事を明示している。

近代社会は全てを商品化し、定量化しながらも一方で定量化不可能な外部を必要としている。この上野公園から南東約4kmの地点には広大な森林を持つ皇居がある。